この件に関しては、私(前川盛治)が、沖縄タイムス論壇(201752日)で問題点を指摘し、泡瀬干潟を守る連絡会が2017620日に国沖縄総合事務局に「浚渫土砂を泡瀬干潟埋立に使うのではなく、別の用途を考えるべき」(下記、要請)との要請をしたにもかかわらず、国は沖縄県に泡瀬干潟埋立の変更届をし、それを沖縄県が認めた結果、上記の新聞報道になっています。

国、沖縄県には、泡瀬干潟を保全する考えは全くありません。沖縄県は、辺野古埋め立てに関しては、一貫して反対を貫き、民意を大切にし、頑張っていますが、泡瀬干潟に関しては、民意に反した行為を行っています。誠に遺憾です。

 

                         2017620

内閣府・沖縄総合事務局 局長 能登 靖 様

開発建設部長 成瀬 英治 様

港湾計画課長 坂本 渉 様

 

中城湾港西埠頭航路の拡幅の浚渫土砂を泡瀬干潟埋立に使うのではなく、陸揚げにして他の利用方法を考えること。(要請)

泡瀬干潟を守る連絡会

              共同代表 小橋川共男 漆谷克秀

              連絡先 事務局長 前川盛治

              電話:09054766628

 

422日の「沖縄タイムス」1面トップに「中城湾港航路を拡幅 本年度着工 大型貨物船に対応」の記事が掲載されていた。要点は「水深13mの航路幅を現在の220mから330mに広げ、7万トン級の貨物船が入港できるようにする。9月までに入札を実施する。船同士が行き交うことも出来、貨物船やクルーズ船の就航増が期待できる」である。

ところで、この記事の中に「浚渫土砂の処分」についての記載がないので、沖縄総合事務局中城湾港出張所に問い合わせたところ、「浚渫土砂の処分先については検討中である。入札まで期間があるので検討していく」(名城所長)との回答であった。

私たち泡瀬干潟を守る連絡会は、浚渫土砂の処分先が泡瀬干潟埋立地になるのではないかを危惧し、そうならないように強く主張する。

そもそも、進行中の泡瀬干潟埋立工事の理由の一つが、「うるま市新港地区FTZ振興の為、東埠頭の泊地・航路の浚渫が必要であり、その土砂処分場として、泡瀬干潟を埋立てる」であった。当初計画(2000年当時、187aの埋立)では、新港地区航路泊地等浚渫土砂(西航路浚渫も含まれていた)は710万㎥であったが、変更後の現計画(95aの埋立)では、西航路浚渫土砂は除かれ、新港地区の東埠頭の泊地・航路の浚渫のみになり、342万㎥に減らされていた。このような経過をみると、「西航路浚渫の土砂を泡瀬干潟に捨てる」ことは、許されない。新港地区の泊地・航路の浚渫土砂がもともと埋立用土砂としては不適当(水を含むと軟弱)であったことから、新港地区の埋立に使われず放置されていた経過からも「泡瀬干潟埋立」に使うことも無理があった。完成した新港地区では、表層は砂で整地され、工事のためボーリングをすると、地下約30mに達して固い地盤になる、などの実態もある。

西埠頭は、リサイクルポートとして活用され、計画貨物量(110万トン)に対し実績は平成19年度で77万トンに達し、満杯でありFTZ企業が西埠頭を使うことができないことも、東埠頭の泊地・航路の浚渫が必要である理由でもあった。西埠頭をクルーズ船が利用するということも「西埠頭はFTZ企業が使えない」と説明した経緯からすれば、事業者は私たちに「嘘をついてきた」ことになる。100歩譲って、西埠頭の航路拡幅の必要性を理解するとしても、生物多様性の宝庫、ラムサール条約湿地登録候補地の泡瀬干潟をこれ以上劣化させることは止めて、「浚渫土砂を泡瀬干潟埋立に使うのではなく、陸揚げにして他の利用方法(例えば、耕地の土地改良用土砂)等を考える」べきである。

沖縄総合事務局のご高配を期待し、下記の要請を致します。

要請

1.世界に誇る泡瀬干潟を守るために、中城湾港西埠頭航路の拡幅の浚渫土砂を泡瀬干潟埋立に使うのではなく、陸揚げにして他の利用方法(例えば、耕地の土地改良用土砂等)を考えること。