2016719日(火)、記者会見及び国・県要請

泡瀬干潟を守る連絡会、日本自然保護協会、沖縄リーフチェック研究会

下記Tの内容の記者会見を13時半、県庁記者クラブで行い、その後、下記U、Vの内容の要請を、県知事(港湾課)、沖縄総合事務局(港湾計画課)に行った。港湾課は、我那覇生雄・港湾課長、国・港湾計画課は、三島理・港湾空港指導官が対応した。

新聞(琉球新報、721日)報道は、Wに掲載してある。

T.記者会見内容

                    2016719

泡瀬干潟、ヒメマツミドリイシ群落の調査結果

泡瀬干潟を守る連絡会

              共同代表 小橋川共男 漆谷克秀

              連絡先 事務局長 前川盛治

              電話:09054766628

日本自然保護協会

 理事長:亀山章

沖縄リーフチェック研究会

 代表 安部真理子

1.      私たちは、泡瀬干潟、ヒメマツミドリイシ群落の調査を2005年から毎年実施している。

調査場所:西防波堤の西端の北西にある約3万u(2005年)のヒメマツミドリイシ群落

泡瀬干潟埋立地の東北東約1.5キロの場所にある。

2.      2016630日の調査結果は、被度が5.6%まで急激に悪化していた。

   2005年度から2016年度までの被度調査結果は下記の通りである。

年度

05

07

09

10

11

12

13

14

15

2016年度

私たち

59

52

32

27

42

27

24

24

17

5.6

事業者

なし

60

20

10

10

10

10

10

10

 

注:私たちの調査結果では、工事着工(2002年、本格工事着工2004年)以降、右肩下がりであるが、2011年度は増加している。これは、泡瀬干潟埋立訴訟(一次)で私たちが勝訴したので、工事が200911月〜201110月間中断されたたためだと思われる。

 

3.      630日の調査結果を別掲載写真で示す。調査ライン(100m)での被度は5.6%であった。

(調査方法:100mのライン上を50cm毎に調査する。20mを調査し、5mは休む。以後3回繰り返す。合計80mを50cm毎に調査するので、160箇所を調査することになる。今回の調査では、サンゴの生息が確認できたのは160箇所のうち僅か9か所であり、被度は5.6%(9÷160×1005.6%)である。

 

4.      調査に参加したのは、下記です。

小橋川共男(泡瀬干潟を守る連絡会、共同代表、写真家)

前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会、事務局長、第二次訴訟原告団長)

安部真理子(日本自然保護協会、沖縄リーフチェック研究会、サンゴ生態学専門)

荒田茂(スキューバーダイビング専門家)

 

5.      その他

  出発、帰漁港:北中城村熱田漁港   調査時間:10時(出発)〜19時(帰港)   

調査場所は他に西防波堤の東端・灯台近くの移植サンゴ・オヤユビミドリイシ(11時〜13時)

新たなヒメマツミドリイシ群落の調査ポイント(25uの区画、二つ)の設定(ポイントの鉄筋打ち)

 

1.2016630日 安部真理子撮影

殆どのサンゴが死滅している。

2.2016630日 安部真理子撮影

殆どのサンゴが死滅している。

3.2016630日 安部真理子撮影

生き残っているサンゴもあるが、ごく僅かである。

4.2016630日 安部真理子撮影

周辺の海草藻場も埃を被り、元気がない。

5.2016630日 安部真理子撮影

周辺のリュウキュウスガモも元気がない。

6.2005年頃 小橋川共男撮影

サンゴも海草も生き生きとしていた。

7.2005年頃 小橋川共男撮影

サンゴ、海草、貝も生き生きとしていた。

8.2005年頃 小橋川共男撮影

今は、このような群落は消滅して、無い。

 

U.国・沖縄総合事務局要請文

                       2016719

内閣府・沖縄総合事務局 局長 能登 靖 様

開発建設部長 成瀬 英治 様

港湾計画課長 坂本 渉 様

泡瀬干潟埋め立て工事の中止(要請)

泡瀬干潟を守る連絡会

              共同代表 小橋川共男 漆谷克秀

              連絡先 事務局長 前川盛治

              電話:09054766628

日本自然保護協会

 理事長:亀山章

沖縄リーフチェック研究会

 代表 安部真理子

 

私たちは、今年6月末に、泡瀬干潟・浅海域埋立工事の東北東1.5キロの浅海域に生息する枝サンゴの一種ヒメマツミドリイシの定期調査を行いました。現状にビックリし、怒りがこみ上げてきました。海底の一定面積に占めるサンゴの割合を示す被度が、5.6%にまで急激に悪化していました。まさに絶滅寸前です。その調査結果は、別紙記者会見「泡瀬干潟、ヒメマツミドリイシ群落の調査結果」に示してある。

このサンゴ群落は、2005年頃は面積3万平米にわたって一面ピンク色に輝き、足の踏み場もないほど見事な景観を示していました。2007年には、このサンゴ群落が一斉に産卵もしています。沖縄県第二の都市近郊での奇跡とまで言われていたのです。このサンゴ群落が、何故消滅の危機に瀕しているのでしょうか。周辺環境の大きな変化をもたらしたものは、泡瀬干潟・浅海域埋め立て工事のみですから、原因は埋め立て工事だと推測されます。

泡瀬干潟・浅海域では、現在埋立工事が進行中の区域(第1区域)にもサンゴ群落(リュウキュウキッカサンゴ、スギノキミドリイシ、ヤッコアミメサンゴ、コノハシコロサンゴ、オヤユビミドリイシ)がありましたが、そのサンゴ群落も一部は移植されましたが、多くは埋立事業で生埋めにされてしまいました。

今の状態が進行すると、泡瀬干潟・浅海域ではサンゴが消滅してしまいます。

ところで、国は、環境基本法・生物多様性基本法等を策定している。

(1)環境基本法・生物多様性基本法は、生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っていること、生物の多様性は人類の存続の基盤となっていることなどを規定し、中央・地方の政府機関等に対しその保全の義務を課している。生態系に対する開発等に際しては、いわゆる「予防原則」や「順応的管理」の方法を採用することも指示している。

(2)泡瀬干潟海域に占める本件埋立の面積は相対的にも大きく、しかも埋め立てられる海域は生態系上コアの部分を含み、工事等による周辺海域への環境影響を軽視できない。そして、本件埋立事業に関する環境影響評価書、環境保全図書等の記載もずさんかつ適正なものといえず、環境影響評価手続も不十分である。実際に埋立工事の進捗に伴って自然環境上の様々な影響も現実化しているが、事業者はこれに誠実に対応していない。

これらの事実からは、泡瀬干潟・浅海域埋立事業は、環境影響評価法33条等、生物多様性基本法3条2項、3項等にも違反していることになる。

また、環境基本法等からは生物多様性等の環境は「人類の存続の基盤」等と位置づけられるが、泡瀬干潟もまた「重要海域」等に指定された「人類の存続の基盤」である「環境」の一つである。本件埋立事業等は、この泡瀬干潟海域の重要部分を埋立という不可逆的方法により壊滅させてしまう。

一方で、沖縄県は2010年に「沖縄21世紀ビジョン」を策定しました。この構想は、基本理念に「沖縄の自然は、天賦の貴重な贈り物であることを認識し、豊かな自然を守り、次の世代、さらに次の世代へ送り続ける」と定めています。また、「沖縄の自然と歴史、伝統、文化には、人を魅了し惹きつける力「ソフトパワー」がある。これらを劣化させることなく、次世代に引き継ぐことが求められている」としたうえで、「県民が望む将来の姿」として「豊かな自然の残る美ら島では、青い海と白い砂浜が広がり、自然の海岸線が続いている。自然海岸と連なるサンゴ礁により、イノー(礁池)の穏やかさが守られている。」など7つの将来像を明示しています。そうした将来像の実現に向けて「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型社会の構築を目指し、自然環境の保全と経済社会の発展の両立を図る・・・」としています。

この沖縄21世紀ビジョンは、本当に素晴らしい、夢のある構想で、県民、行政が一体になって進めるべきものです。ところが、この構想策定翌年の20117月に、泡瀬干潟埋立の変更申請がなされ、当時の仲井真県政は、環境面での十分な審査もせず埋立を許可・認可し、2014年に発足した翁長県政もこの泡瀬干潟埋立事業を、何ら検証せず、そのまま引き継ぎました。その結果、冒頭に示したように、サンゴ群落が消滅の危機に瀕し、世界の宝であり、生物多様性のホットスポットであった泡瀬干潟の豊かさが失われつつあります。

国沖縄総合事務局・沖縄県が進めている泡瀬干潟・浅海域埋立事業は、明らかに「沖縄21世紀ビジョン」、国が策定した環境基本法・生物多様性基本法にも真っ向から反する行政行為です。

泡瀬干潟・浅海域の豊かな自然を守り、「次の世代、さらに次の世代へ送りつなげる」(前出ビジョン)ため、次を要請いたします。

 

1.        私たちの調査では、ヒメマツミドリイシ群落の被度が5.6%まで急激に悪化し、消滅の危機に瀕している。事業者の調査でも、2015年度の同サンゴ群落の被度は10%となっている。

被度の減少は、泡瀬干潟埋め立て工事が原因と思われる。事業者は進行中の埋め立て工事を中止し、ヒメマツミドリイシ群落の被度減少の原因を解明すること。

以上

 

V.県知事要請文

                     2016719

沖縄県知事 翁長雄志 様

土木建築部長 宮城 理 様

港湾課長 我那覇 生雄 様

泡瀬干潟埋め立て工事の中止(要請)

泡瀬干潟を守る連絡会

              共同代表 小橋川共男 漆谷克秀

              連絡先 事務局長 前川盛治

              電話:09054766628

日本自然保護協会

 理事長:亀山章

沖縄リーフチェック研究会

 代表 安部真理子

 

私たちは、今年6月末に、泡瀬干潟・浅海域埋立工事の東北東1.5キロの浅海域に生息する枝サンゴの一種ヒメマツミドリイシの定期調査を行いました。現状にビックリし、怒りがこみ上げてきました。海底の一定面積に占めるサンゴの割合を示す被度が、5.6%にまで急激に悪化していました。まさに絶滅寸前です。その調査結果は、別紙記者会見「泡瀬干潟、ヒメマツミドリイシ群落の調査結果」に示してある。

このサンゴ群落は、2005年頃は面積3万平米にわたって一面ピンク色に輝き、足の踏み場もないほど見事な景観を示していました。2007年には、このサンゴ群落が一斉に産卵もしています。沖縄県第二の都市近郊での奇跡とまで言われていたのです。このサンゴ群落が、何故消滅の危機に瀕しているのでしょうか。周辺環境の大きな変化をもたらしたものは、泡瀬干潟・浅海域埋め立て工事のみですから、原因は埋め立て工事だと推測されます。

泡瀬干潟・浅海域では、現在埋立工事が進行中の区域にもサンゴ群落(リュウキュウキッカサンゴ、スギノキミドリイシ、ヤッコアミメサンゴ、コノハシコロサンゴ、オヤユビミドリイシ)がありましたが、そのサンゴ群落も一部は移植されましたが、多くは埋立事業で生埋めにされてしまいました。

今の状態が進行すると、泡瀬干潟・浅海域ではサンゴが消滅してしまいます。

ところで、沖縄県は2010年に「沖縄21世紀ビジョン」を策定しました。この構想について、県は「県民の参画と協同のもとに、将来のあるべき沖縄の姿を描き、県民や行政の役割などを明らかにする基本構想・・沖縄の将来像の実現を図る県民一体となった取り組みや、これからの県政運営の基本的な指針となる・・。」と説明しています。この構想は、基本理念に「沖縄の自然は、天賦の貴重な贈り物であることを認識し、豊かな自然を守り、次の世代、さらに次の世代へ送り続ける」と定めています。また、「沖縄の自然と歴史、伝統、文化には、人を魅了し惹きつける力「ソフトパワー」がある。これらを劣化させることなく、次世代に引き継ぐことが求められている」としたうえで、「県民が望む将来の姿」として「豊かな自然の残る美ら島では、青い海と白い砂浜が広がり、自然の海岸線が続いている。自然海岸と連なるサンゴ礁により、イノー(礁池)の穏やかさが守られている。」など7つの将来像を明示しています。そうした将来像の実現に向けて「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型社会の構築を目指し、自然環境の保全と経済社会の発展の両立を図る・・・」としています。

この沖縄21世紀ビジョンは、本当に素晴らしい、夢のある構想で、県民、行政が一体になって進めるべきものです。ところが、この構想策定翌年の20117月に、泡瀬干潟埋立の変更申請がなされ、当時の仲井真県政は、環境面での十分な審査もせず埋立を許可・認可し、2014年に発足した翁長県政もこの泡瀬干潟埋立事業を、何ら検証せず、そのまま引き継ぎました。その結果、冒頭に示したように、サンゴ群落が消滅の危機に瀕し、世界の宝であり、生物多様性のホットスポットであった泡瀬干潟の豊かさが失われつつあります。

沖縄県が進めている泡瀬干潟・浅海域埋立事業は、明らかに「沖縄21世紀ビジョン」にも真っ向から反する行政行為です。「沖縄21世紀ビジョン」は飾り物ではなく、行政が進めるべきビジョンを示しており、本件事業もこれに基づいて再検討すべきものです。

泡瀬干潟・浅海域の豊かな自然を守り、「次の世代、さらに次の世代へ送りつなげる」(前出ビジョン)ため、次を要請いたします。

 

1.      私たちの調査では、ヒメマツミドリイシ群落の被度が5.6%まで急激に悪化し、消滅の危機に瀕している。事業者の調査でも、2015年度の同サンゴ群落の被度は10%となっている。

被度の減少は、泡瀬干潟埋め立て工事が原因と思われる。事業者は進行中の埋め立て工事を中止し、ヒメマツミドリイシ群落の被度減少の原因を解明すること。

2.      沖縄県は、泡瀬干潟海域で「サンゴ移植事業」を実施している。その内容を公表すること。

以上

 

W.新聞報道  2016721日「琉球新報」

注:記事の中の「被度現象」は、「被度減少」に訂正。