第二次泡瀬干潟埋立公金支出差止請求事件  控訴審判決  報告

2016118日 福岡高裁那覇支部

前半に「沖縄タイムス」「琉球新報」の報道記事、

後半に「決全文」「判決骨子」「判決要旨」、泡瀬干潟を守る連絡会・原告団の「声明」

1.119日の「沖縄タイムス」報道

次の判決要旨、読みづらいので、下記の「判決要旨」をクリックしてご覧ください。

2.119日の「琉球新報」報道

3.判決文   下記をクリックして下さい。

判決文全部   判決骨子  判決要旨  

4.原告団・泡瀬干潟を守る連絡会の声明

                  声明

 

 本日、2016118日、福岡高裁那覇支部で第二次泡瀬干潟埋立公金支出差止訴訟の控訴審判決が言い渡された。原告の訴えが認められず、「不当判決」である。原告一同、弁護団、訴訟を支援する会、支援いただいた全県・全国の方々とともに、この判決の不当性を追及するものである。

 この訴訟は、第一次泡瀬訴訟の高裁判決(20091015日)で「公金支出差止め」が言い渡され、原告の勝利が確定したにも関わらず、沖縄市が新たな計画をつくり、それを国に要請し、当時の民主党政権が従来の主張(泡瀬干潟の埋立を中止する)を覆し、沖縄市の計画を認め、工事が再開されたことに対しての訴訟(第二次訴訟)であった。二次訴訟の地裁判決は2015224日に言い渡されたが、地裁判決は、事業者の主張を採用し、原告の主張を退ける不当判決であった。この判決を不服として201536日に控訴して、今日の高裁判決を迎えた。

 私たちは、この事業は、需要予測が科学的でなく、過大であり、経済的合理性がなく沖縄市民に多大な財政負担を強いるものであること、防災に対する配慮がなく、人命が危険にさらされること、世界に誇る泡瀬干潟の自然環境を破壊し、新種・貴重種・絶滅危惧種を生き埋めにする暴挙であること、環境基本法・生物多様性基本法に反していること、原判決は事実誤認も多く、行政の裁量権を大きく認め、行政の判断過程に踏み込んだ相当厳格な審査もなされていないこと、また、翁長知事が、仲井真前知事が承認した辺野古埋め立ての承認を取り消したことから、辺野古・大浦と同価値の泡瀬干潟についても埋立承認を取り消すべきであること等を主張し、多数の準備書面と、数多くの証拠・証拠説明書を提出し、この事業への沖縄県・沖縄市の公金支出差止めを求めてきた。20117月の提訴から本日の判決まで54ヶ月余に亘る闘いであった。

 この私たちの主張が認められなかったことは、きわめて残念なことである。これは日本の法制度上の限界を示したものである。私たちが行ってきた、環境、防災、経済合理性に関わる主張や、泡瀬干潟を守ろうとする意思の正当性は何ら否定されるものではない。泡瀬干潟を守る私たちの運動は揺るがない。むしろ自然環境保全の運動、無駄な公共工事に歯止めをかける運動、市民・県民の意思を無視しての工事の強行を許さない運動を一層強化する必要性を痛感する。

 私たちは、この判決を、弁護団と共に分析し、上告するかどうかを含め今後の対応を判断する。

(判決後、判決文を分析し、弁護団と相談の結果、上告することを決めた。)

その上で、沖縄県・沖縄市においては、事業の再検証、見直しを強く要請する。また、この裁判の当事者ではないが、この事業のほとんどを担っている国・沖縄総合事務局に対しても、事業の再検証・見直しを強く要請する。

 私たちは、今後も、これまでの工事で破壊されてきた泡瀬干潟の環境を元に戻すための具体的な努力を進めていく。幸い、2003年に自然再生推進法が施工され、この法に基づいて、日本各地で自然再生事業が取り組まれている。島根県・鳥取県にまたがる中海・宍道湖では、90%干拓・淡水化工事が進行している中で、市民・県民の闘いで事業を中止させ、全国で初めての民間主導での自然再生事業が取り組まれている。また、泡瀬埋立工事の1区以外のラムサール条約登録も、沖縄県知事が同意し、環境省も積極的に推進していくことを表明している。私たちは、2018年ドバイでのラムサール条約締約国会議で実現できるように運動を強化する。引き続き全国の関係者の支援、共同の取り組みを訴える。

 最後に、泡瀬干潟を守る運動、この訴訟を支援し、共に闘ってきた、市民、県民、全国の仲間、弁護団に感謝する。

   2016118日  泡瀬訴訟原告団・泡瀬干潟を守る連絡会