沖縄県への要請 2017年6月19日(月)、午後3時半〜5時
※要請文は文末
1.
藻の大量発生と絶滅危惧種の貝の死滅の原因究明と対策(自然保護課、港湾課)
自然保護課の回答(要点):沖縄県の計画や指針を策定するときなどは調査をするが、特定の地域での現象につては、これまで調査したこともないし、今回の要請の調査も出来ない。国、市町村、他の部局からの要請があった時は、連携して調査は行うことはある。
港湾課の回答(要点):工事進行に伴う様々な調査を行い、報告を受けているが、現時点で異常は報告されていない。今回の要請については、調査・解明はできない。国には報告するが、環境監視委員会に報告し指導助言を得るということは、約束できない。努力するとも言えない。
連絡会のコメント:沖縄県の回答からは、沖縄の自然を守る、泡瀬干潟を守るという意識・意欲は全く感じられない。環境監視検討委員会への提起も、県港湾課は事務局でありながら、全く消極的であった。これでは、藻の発生・貝類の大量死の原因解明、対策は全くできない。沖縄県は、「自然保護行政空白県だ。」
2.
泡瀬での鳥獣保護区の設定を2017年11月1日までに完結させること(自然保護課)
自然保護課の回答(要点):前に回答したように、11月1日までに出来るように最大限の努力をしている。保護区(特別保護区)の設定を取り組んでいる。
連絡会のコメント:2018年10月のドバイでのCOP13で泡瀬干潟のラムサール条約湿地登録ができるようにさらに努力を促した。
3.新聞報道(沖縄タイムス、6月20日)
4.新聞報道(琉球新報、6月20日)
国(沖縄総合事務局、港湾計画課)への要請 2017年6月20日(火)11時〜12時
1.藻の大量発生と絶滅危惧種の貝の死滅の原因究明と対策
国の回答(概要):工事進行に伴う様々な調査(水質、濁り、COD,海草藻類、クビレミドロ等)を行い、報告を受けているが、現時点(3月報告)で異常は報告されていない。今回の連絡会の要請内容は、報告の無かった内容であり、新たなことであり、これまでの報告と照らし合わせながら分析、検討していく。環境監視委員会に報告し指導助言を得ることについては、皆様の報告と他のデータも検討し、必要と判断したならば、提案していく。
連絡会のコメント:異常事態であることの協調や、和白干潟での取り組みや(行政が藻の撤収を行っている)、環境監視検討委員会の要綱(異常事態が発生したときは原因を究明し、対策について検討行う等)も提示したこともあり、県の回答よりは前進した回答であった。
藻の大量発生・絶滅危惧の貝類の大量死が異常事態であることの認識や、環境監視検討委員会への提案を強調したが、それが実現することを期待したい。国の対応と比較すると、県の対応のデタラメさが際立った要請であった。
2.中城湾港西埠頭の浚渫土砂処分
国の回答(要点):まだ検討中であり、処分先は決まっていない。
連絡会のコメント:泡瀬干潟に捨てることが無いように、再度強くお願いした。
国要請の写真(抜粋)
要請参加の連絡会メンバー(右側):右から屋良朝敏事務局次長、前川盛治事務局長、吉里伸副代表、三井壮役員 |
質疑応答する前川盛治事務局長 |
死滅した絶滅危惧種の貝について説明する屋良朝敏事務局次長(ウミエラ館長) 対応した国港湾計画課の皆様(左):左から名嘉康行港湾計画専門官、森弘継港湾空港指導官 |
要請文(藻の発生・貝類の死滅の国への要請と県への要旨は同じ内容なので国要請文を掲載)
2017年6月20日
内閣府・沖縄総合事務局 局長 能登 靖 様
開発建設部長 成瀬 英治 様
港湾計画課長 坂本 渉 様
泡瀬干潟における「緑藻類・ホソエダアオノリ(タレツアオノリ、ミナミアオノリ)」の大量発生による貝類(カワラガイ、ザルガイ、リュウキュウアサリ、ハボウキガイ、リュウキュウサルボウ、ニッコウガイ等)の被害の原因究明と対策(要請)
泡瀬干潟を守る連絡会
共同代表 小橋川共男 漆谷克秀
連絡先 事務局長 前川盛治
電話:090−5476−6628
泡瀬干潟では、今年「ホソエダアオノリ」が大量発生し、そのため海底に生息する貝類が死滅し、多量の貝類の死骸が見られる。昨年は「カゴメノリ」が大量発生し、同様な現象が見られた。これらの現象は、最近よく観察される。
その原因は何であろうか? これと同じ現象は、他の地域、例えば福岡県の和白干潟でも見られる。和白干潟は、泡瀬干潟と同じように出島方式で沖合が埋められ、残った干潟が富栄養化し、アオサ(フタエグサ)が大量発生し、貝類を消滅させている。和白干潟では、大量に発生したアオサをブルトーザーでかき集め、撤去する作業が毎年続いている。
上記の泡瀬干潟における「ホソエダアオノリ」の大量発生、貝類の死滅も、和白干潟と同じような現象と推察される。
このような状況が毎年続くと、泡瀬干潟の劣化は一層進み、かっての「生物多様性の宝庫」が失われてしまう恐れがある。
私たちは、泡瀬干潟における上記の現象の原因の解明を早急に行い、その対応を強く求め、国沖縄総合事務局に次の要請を行う。
要請
1.
泡瀬干潟における「ホソエダアオノリ等」の大量発生の原因を解明し、それを防ぐ対応を早急におこなうこと。
参考資料:ホソエダアオノリの大量発生と、貝類の大量死
1.
ホソエダアオノリの画像
私たちの調べでは、下記の緑藻は「ホソエダアオノリ」と思いますが、
正確には、専門家の同定が必要です。
2017年5月18日撮影:前川盛治 「ホソエダアオノリ」か? |
沖縄の海藻と海草(当真 武)掲載のホソエダアオノリ(タレツアオノリ) |
インターネット「ホソエダアオノリ」に掲載の画像。最近新種と判明し「ミナミアオノリ」とも呼ばれる。 |
インターネット「ホソエダアオノリ」に掲載の画像 |
2.ホソエダアオノリの大量発生の画像(3月30日、撮影:前川盛治)
干潟を覆い尽くすホソエダアオノリ |
通信基地前、カゴメノリ(中央)とホソエダアオノリ(上) |
5月18日撮影、岩礁も覆い尽くす |
5月18日 一部は腐れ黒くなり、別の貝ウミニナなどが群がっていた。 |
5月18日 米軍泡瀬通信基地の前 |
5月18日通信基地の前面も覆い尽くす |
3.貝類の被害・死滅状況(撮影:5月17日、前川盛治)
死滅したハボウキガイ |
死滅したカワラガイ |
死滅したカワラガイ、リュウキュウアサリ |
死滅したザルガイとハボウキガイ |
カワラガイの多数の死骸(中央上) |
カワラガイ、ザルガイ、などの死骸 |
4.屋良朝敏氏撮影の画像(5月12日撮影)及び採集した死滅した貝
死滅したザルガイ |
通信基地前 ホソエダアオノリが覆う |
枯死したホソエダアオノリは黒く変色し、海底を覆う。 |
採集された死滅した貝の一部 |
左・ニッコウガイ、右・リュウキュウアサリ、ニッコウガイ ニッコウガイ、リュウキュウアサリは絶滅危惧TB類 |
左・カワラガイ、右・ザルガイ、リュウキュウサルボウ等 カワラガイは絶滅危惧U類、この中にはU類のダイミョウガイもいる。 写真には無いが、干潟では、ハボウキガイ(U類)の死骸も多数見られる。 |
カワラガイ、ザルガイ、ユウカゲハマグリ、リュウキュウバカガイ等 |
|
5.記者会見(5月25日・木)以降の泡瀬干潟における「アオサ(フタエグサ)の大量発生」
5月30日(火)、泡瀬干潟、米軍泡瀬通信施設先の「アオサ(フタエグサ)の大量発生(東側砂州の周辺の干潟の色・茶色と比較して見てください) 撮影:泡瀬干潟を守る連絡会 |
6月1日(木)、米軍泡瀬通信施設先の「アオサ(フタエグサ)の大量発生(手前のアオサの発生していない場所と比較して見て下さい)撮影:泡瀬干潟を守る連絡会 |
上記2.ホソエダアオノリの大量発生の画像の左上の写真の拡大(3月30日撮影)
2017年6月20日
内閣府・沖縄総合事務局 局長 能登 靖 様
開発建設部長 成瀬 英治 様
港湾計画課長 坂本 渉 様
中城湾港西埠頭航路の拡幅の浚渫土砂を泡瀬干潟埋立に使うのではなく、陸揚げにして他の利用方法を考えること。(要請)
泡瀬干潟を守る連絡会
共同代表 小橋川共男 漆谷克秀
連絡先 事務局長 前川盛治
電話:090−5476−6628
4月22日の「沖縄タイムス」1面トップに「中城湾港航路を拡幅 本年度着工 大型貨物船に対応」の記事が掲載されていた。要点は「水深13mの航路幅を現在の220mから330mに広げ、7万トン級の貨物船が入港できるようにする。9月までに入札を実施する。船同士が行き交うことも出来、貨物船やクルーズ船の就航増が期待できる」である。
ところで、この記事の中に「浚渫土砂の処分」についての記載がないので、沖縄総合事務局中城湾港出張所に問い合わせたところ、「浚渫土砂の処分先については検討中である。入札まで期間があるので検討していく」(名城所長)との回答であった。
私たち泡瀬干潟を守る連絡会は、浚渫土砂の処分先が泡瀬干潟埋立地になるのではないかを危惧し、そうならないように強く主張する。
そもそも、進行中の泡瀬干潟埋立工事の理由の一つが、「うるま市新港地区FTZ振興の為、東埠頭の泊地・航路の浚渫が必要であり、その土砂処分場として、泡瀬干潟を埋立てる」であった。当初計画(2000年当時、187haの埋立)では、新港地区航路泊地等浚渫土砂(西航路浚渫も含まれていた)は710万㎥であったが、変更後の現計画(95haの埋立)では、西航路浚渫土砂は除かれ、新港地区の東埠頭の泊地・航路の浚渫のみになり、342万㎥に減らされていた。このような経過をみると、「西航路浚渫の土砂を泡瀬干潟に捨てる」ことは、許されない。新港地区の泊地・航路の浚渫土砂がもともと埋立用土砂としては不適当(水を含むと軟弱)であったことから、新港地区の埋立に使われず放置されていた経過からも「泡瀬干潟埋立」に使うことも無理があった。完成した新港地区では、表層は砂で整地され、工事のためボーリングをすると、地下約30mに達して固い地盤になる、などの実態もある。
西埠頭は、リサイクルポートとして活用され、計画貨物量(110万トン)に対し実績は平成19年度で77万トンに達し、満杯でありFTZ企業が西埠頭を使うことができないことも、東埠頭の泊地・航路の浚渫が必要である理由でもあった。西埠頭をクルーズ船が利用するということも「西埠頭はFTZ企業が使えない」と説明した経緯からすれば、事業者は私たちに「嘘をついてきた」ことになる。100歩譲って、西埠頭の航路拡幅の必要性を理解するとしても、生物多様性の宝庫、ラムサール条約湿地登録候補地の泡瀬干潟をこれ以上劣化させることは止めて、「浚渫土砂を泡瀬干潟埋立に使うのではなく、陸揚げにして他の利用方法(例えば、耕地の土地改良用土砂)等を考える」べきである。
沖縄総合事務局のご高配を期待し、下記の要請を致します。
要請
1.世界に誇る泡瀬干潟を守るために、中城湾港西埠頭航路の拡幅の浚渫土砂を泡瀬干潟埋立に使うのではなく、陸揚げにして他の利用方法(例えば、耕地の土地改良用土砂等)を考えること。
2017年6月19日
沖縄県知事 翁長雄志 様
自然保護課長 金城賢様
泡瀬干潟を守る連絡会 共同代表 小橋川共男 漆谷克秀
連絡先:事務局長:前川盛治 沖縄市古謝津嘉山町43−1
電話:090−5476−6628
沖縄県第12次鳥獣保護管理事業計画における「泡瀬」での保護区(特別保護区)の設定を2017年11月1日までに完結させること(再度の要請)
貴職におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、私たち泡瀬干潟を守る連絡会は、2017年3月8日の県知事・県自然保護課への要請で、「第12次鳥獣保護管理事業計画(案)に示される、特別保護区(泡瀬の場合、保護区611haの中の118ha)については、可能な限り面積を増やすこと。」を要請いたしました。そして、その要
請の席で確認された、特別保護区については、米軍泡瀬通信施設先の「東側砂州」も含めるように、3月23日付の要請文に明記して、提出致しました。
その後、沖縄県におかれましては、保護区の具体的な線引きの作業を行い、沖縄市などの合意を取り付ける作業に着手していることに敬意を表します。
ところで、先の要請で沖縄県は具体的な保護区の線引きを2017年11月1日までに完成させるよう最大限の努力を行うと回答しておりましたが、その件について、再度次の要請を致します。よろしくお願いいたします。
記
1.
泡瀬干潟のラムサール条約湿地登録を2018年ドバイでのCOP13で確定させるために、沖縄県第12次鳥獣保護管理事業計画における「泡瀬」での保護区(特別保護区)の具体的な線引きを、2017年11月1日までに完結させること。
以上