2015(平成27)年3月5日、沖縄県議会、嘉陽宗儀県議(日本共産党)の質問に対する沖縄県知事(環境部長)の答弁
◎沖縄県としては、(泡瀬干潟の)ラムサール条約への早期登録に向けて取り組んでいきたい。
この答弁は、泡瀬干潟を守るこれまでの運動の成果であり、その実現を期待するものである。
経過の説明
1.泡瀬干潟を守る連絡会は、2016年1月に県議会に陳情した。そ
の概要は文末掲載。
2.上記の陳情を踏まえ、嘉陽宗儀県議(日本共産党)が質疑した。
3.その回答が上記である。
泡瀬干潟を守る連絡会の県議会陳情
2015年2月3日
沖縄県議会 議長 喜納昌春 様
泡瀬干潟を守る連絡会
共同代表 小橋川共男 漆谷克秀
事務局長 前川盛治
沖縄市字古謝1166 電話:090−5476−6628
沖縄市東部海浜開発(泡瀬干潟及び浅海域埋立)事業の中止について(陳情)
2013年1月28日の「建白書(オスプレイ配備撤回・配備中止、普天間基地の即時閉鎖・撤去、県内移設断念)」実現を最大の争点にし、保守・革新の枠を乗り超え、「オール沖縄」でたたかった11月16日の沖縄県知事選挙は、翁長雄志氏が約10万票の大差をつけて勝利しました。これは沖縄県民の団結の勝利であり、沖縄・日本の将来に大きな影響を与える歴史的な勝利でした。これまでの、泡瀬干潟埋立て推進の仲井真県政が変わりました。
ところで、沖縄市東部海浜開発事業(泡瀬干潟・浅海域埋立事業)は、沖繩市の強い要望で、国(沖縄総合事務局)・沖縄県の事業として進行していますが、この事業は多くの問題点があります。私たちは、この事業は中止し、既に行われた工事については、環境省(あるいは国土交通省・農林水産省)に自然再生事業を申請し、泡瀬干潟を再生させ、エコツーリズムの拠点としての活用を推進し、沖縄市の活性化に役立てるよう、これまで沖縄県に様々な陳情・要請を行ってきましたが、残念ながらその願いは叶いませんでした。
新知事の誕生を契機に、再度問題点を整理し、沖縄市東部海浜開発(泡瀬干潟及び浅海域埋立)事業の中止を陳情するものです。
沖縄県議会におかれましては、これまで仲井真知事が推し進めたことをそのまま推進することなく、指摘した問題点(後述)を再度点検し、陳情に応えていただくようにお願いいたします。
陳情
1. 沖縄21世紀ビジョンの精神(沖縄らしい自然と歴史、伝統、文化を大切にする島)に基づき、沖縄の自然環境の保全に努めること。
2. 沖縄市東部海浜開発(泡瀬干潟及び浅海域埋立)事業の再点検をし、埋め立て事業を中止すること。
3. 2015年度県予算編成にあたっては、沖縄市東部海浜開発(泡瀬干潟及び浅海域埋立)事業関連の予算を計上しないこと。
指摘した問題点
経済的合理性、防災問題、その他、省略
環境問題の一部を掲載
《埋立再開で貴重な自然環境が破壊されることは国際社会での責務に反する》
1. 新しい土地利用計画では干潟の98%が保全されるとしているが、干潟とそれに続く浅海域が95haも埋められます。干潟と浅海域は一つの生態系であり、既に1期工事の影響で2区の自然環境も悪化しています。コアジサシやウミガメの産卵場であった通信基地前の東側砂州も工事の影響で、満潮時海面下になり、大きな被害を受けています。今度、東側砂州の衰退の原因を示す新しい事実が判明しました。2013年7月22日、泡瀬干潟を守る連絡会が撮影した掘削航路の上空からの写真には、沖側から供給されてきた砂が掘削航路に落ち込んでいる状況が鮮明に写っている。8月18日の現地調査では、長さ72m、突出幅13m、深さ4mの砂の落ち込みが確認できた。事業者が環境監視委員会に提出した「砂州の形成・維持機構」には「沖側・・から砂が供給され、浅瀬に堆積し砂州が形成」と記載されている。沖側から供給された砂が掘削航路に落ち込めば、砂州に砂が供給されず砂州は衰退していくと思われる。
2. 泡瀬干潟は、生物多様性、自然資源、教育、観光、レクリエーションなど、多様な価値を持っています。ラムサール条約の登録潜在候補地にもなっており、2011年3月には環境省から「埋立は可能な限り回避するよう」意見が出されていますが、その意見は無視されています。第11回ラムサール条約締約国会議(2012年7月、ルーマニア、ブカレスト)で、日本国の国別報告書で「また、沖縄県の泡瀬干潟において、人工島を作る大規模な埋立て計画が進んでいる等、一部において生態学的特徴の部分的な喪失が懸念されている。」と報告され、泡瀬干潟埋め立て問題が世界的にも問題になっています。