第二次泡瀬訴訟、第22回公判(口頭弁論)報告 2014年9月30日、那覇地裁
7月8日に予定されていた第22回公判(証人尋問)は台風のため延期され9月30日に開かれました。
当初は、被告沖縄市証人・仲宗根保彦氏(沖縄市東部海浜開発局長)も予定されていましたが、仲宗根氏が都合によりできなくなり替りの人もいないということで、被告側(県・沖縄市)の証人なし、原告証人・前川盛治氏(原告団長)への証人尋問だけとなりました。
なお、原告側証人尋問は7月1日に、友知政樹氏(沖縄国際大学教授・沖縄市の観光客予測)、川瀬光義氏(京都市立大学教授・沖縄市の財政状況)、金本自由生氏(元愛媛大学助教・海草移植、保全)が終わっています。
この日のマスコミ報道は下記です。
以下、少し詳しく報告します。
原告側弁護士尋問
1.御子柴慎弁護士 新種貴重種・サンゴ保全(約15分)
2.日高洋一郎弁護士 地震・津波・台風、FTZ(約30分)
3.原田彰好弁護士 小型船だまり・マリーナ需要予測、米軍返還地の利用問題(約20分)
4.松本徹意弁護士 海草被度減少問題(7分) 合計約70分
以上の原告側弁護団の尋問と私の回答は、下記を見て下さい。
原告側弁護士の尋問及び回答(整理しました。ここをご覧下さい)
上記の前川盛治尋問書、裁判所から正式な尋問調書が届きました。
「前川盛治、尋問調書」 左をクリックして見て下さい。
被告側弁護士の尋問及び私の回答については、下記報告しておきます。
沖縄県、沖縄市の担当弁護士から幾つかの尋問がありましたが、それらは前川盛治氏が提出した陳述書の内容の間違いを指摘するとか、問題点を指摘するとかの尋問ではありませんでした。一方、尋問の中には、「前川盛治氏は、地震、経済、等各種の専門家ですか、イエス、ノーで答えなさい」などがあり、「専門家でない人の意見は検討に値しない」というような尋問に聞こえました。現在は、インターネットが発達し、パソコンの操作で様々な問題を調べ、情報も即座に見ることができるし、専門的な知識も得ることが出来る時代です。被告側の弁護士の見識が問われる内容でした。
なお、被告側弁護士の尋問に対する回答で、後で考えたら内容が不足していたことが気づきましたので、ここで明らかにしておきたいと思います。
1.
日本のすべての埋立地を調べ、泡瀬埋立地と比較検討しているかの尋問
私は、「すべての埋立地」と質問されたので「それはありません」と回答しましたが、液状化問題では千葉県浦安市の埋立地の液状化の実態の問題、残された干潟の劣化の問題では福岡県の和白干潟埋立地のアオサの異常発生問題等を調べ比較しています。個別の問題では関連する埋立地の問題を調査し泡瀬干潟埋立問題と比較検討しています。
2.
同じく、「沖縄のすべての埋立地を調べて情報を掌握しているのか」の尋問に対しても「すべての埋立地」とし質問されたので「それはありません」と答えましたが、上記と同じように関連する問題点については、沖縄県の埋立地の問題も調べ比較しています。
例えばうるま市新港地区埋立地(FTZ、IT企業誘致、液状化、港湾問題)。豊見城市豊崎埋立地(ホテル立地、人工ビーチ)。与那原・西原埋立地(ホテル立地、マリーナ、人工ビーチ)。宮古トゥリバー埋立地(埋立地の利用問題、市町村の財政問題)。大宜味村塩屋埋立地(学校、医療施設の誘致問題)などです。
3.
人工ビーチの「養浜問題で、県内の全ての人工ビーチのデータを掌握しているのか」の質問に対しても「すべての人工ビーチのデータ」は掌握していませんので「それはありません。幾つかのビーチについては現地で関係者から聞き取り調査をしています」と回答しましたが、沖縄市議会の質疑答弁で提供された「調査事例」(県内8つのビーチ)は下記で、「収支」が報告され、掌握しています。
私たちが聞き取り調査したのは「豊見城豊崎海浜公園・人工ビーチ」「西原マリンパーク・人工ビーチ」です。いずれも「台風後の砂浜のメンテナンスで費用が掛かり大変です」と答えています。安座間サンサンビーチについては、台風後の被災状況の「写真」などの提供も受けました。
ビーチ名及び管理者 |
砂浜の長さ |
収支 |
A 市町村 |
460m |
73200-56050=17150千円 |
B 市町村 |
500m |
11981-29392=△17411千円 |
C 市町村 |
550m |
報告なし |
D 民間 |
215m |
29723-44258=△14535千円 |
E 沖縄県 |
850m |
2286-2540=△254千円 |
F 民間 |
200m |
35200-40878=△5678千円 |
G 民間 |
600m |
21200-42000=△20800千円 |
H 沖縄県 |
報告なし |
2272-1946=336千円 |
上記のビーチは、安座間サンサンビーチ(南城市、自然+人工)、アラハビーチ(北谷町、人工)、宇検ビーチ(うるま市、自然+人工)、幸喜ビーチ(恩納村、自然)
サンセットビーチ(北谷町、人工)、 残波ビーチ(読谷村、自然+人工)、西原マリンパーク(西原町、人工)、21世紀の森ビーチ(名護、自然+人工)のデータですが、特定した報告にはなっていません。A〜Hのビーチが何処かは推測してください。
収支には、人工ビーチ養浜費も含まれていると思いますが、上記のビーチで黒字は僅か2箇所で、5箇所は赤字です。
4.
埋立地に立地予定のホテル(5階建て)の件です。沖縄県・国の申請書のホテルの規模、屋上の面積の問題です
申請書の記載は下記です。手書きは私のメモです。
上記の記載からホテル1つの階の面積は32,400÷5=6,480u、5階の屋上は6,480uと推測されます。原告準備書面には、
そのように記載しました。なお、その後厳密に計算すると、述べ床面積32,400uから建築面積(1階の地面に接している面積)
19,440uを引くと32,400−19,440=12,960で、これは2階〜5階の4つの階の面積ですから、1つの階の面積は、12,960÷
4=3,240uになります。ですから、5階の屋上の面積は、さらに小さくなり、3,240uであり、順調に避難できたとして
も3,240名しか避難できません。
沖縄県が主張する、「屋上面積は19,000uあるから、埋立地を利用する11,000人が避難できる」は嘘になります。5階の屋
上面積は19,000uにはなりません。公共事業監視委員会での沖縄県の報告は「虚偽報告」であり、委員の皆様は騙されたこと
になります。
なお、被告側は、上記の「3 ロビーホテル等の諸施設考慮率」も聞いていました。私は、「建設面積はロビー等を考慮して3
倍にするということでしょう、それ以上のことは専門家でないから分かりません」と答えました。このやりとりは、屋上面積
のことではありません。
被告側は屋上面積については一切触れていませんでした。