沖縄総合事務局、沖縄県土木建築部・港湾課への要請(2013121日)

 

下記の要請を行いました。

1.        要請内容(詳細は下記)

泡瀬干潟・浅海域の埋立工事を即時中止せよ(新種のクモ発見に伴う要請)

 

要請

「水没生息世界初・新種のアワセイソタナグモ」等貴重種の生息する泡瀬干潟・浅海域の埋立工事を即時中止せよ。            

 

2.        場所及び時間:2013年1月21日・月曜日

沖縄総合事務局(午後14時) 沖縄県土木建築部・港湾課(午後1530分)

3.        参加者(小橋川共男共同代表、池原秀明副代表、吉里伸副代表、前川盛治事務局長、屋良朝敏事務局次長)

4.        回答

沖縄総合事務局:アセス書に則り対応します。

港湾課:要請があったことを、上司に伝えます。

 

※両者とも全く誠意のない、木で鼻を括る答弁でした。

特に沖縄総合事務局の港湾空港指導官・小野正博氏の答弁は、「(種へ影響が無いように)汚濁防止膜などを展張するなど外界に濁りやシルトが拡散しないように最大配慮して工事を進めていきます。」などとのべ、新種が発見されようが、工事はそのまま継続する、という態度でした。

 

※汚濁防止膜は工事期間中の濁り・シルトなどを閉じ込めておく効果はあるが、工事終了後は撤収するため、閉じ込められていた濁り・シルトは外界へ拡散していきます。当然周辺海域の生物に悪影響を及ぼします。

そのことを指摘しても、小野・港湾空港指導官は、「汚濁防止膜を2重に展張して、濁り・シルトが拡散しないようにしています」を繰り返し答弁するだけでした。また県港湾課の村田和博・港湾開発監は「投入している石材は洗浄するなど、濁り・シルトが拡散しないようにしています」と、回答にならない答弁を繰り返すのみでした。

 

5.        新聞報道(下記)

 

5.要請文書(全文。要請先は、沖縄総合事務局と沖縄県知事を合併)

2013121

沖縄総合事務局長 様 開発建設部長 様  港湾空港指導官  小野正博 様

開発建設部・港湾計画課長 様

沖縄県知事 仲井真 弘多 様   土木建築部長 様    港湾課長 様

 

            泡瀬干潟を守る連絡会

共同代表 小橋川共男 漆谷克秀

            連絡先 前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長)

                携帯:090-5476-6628

 

泡瀬干潟・浅海域の埋立工事を即時中止せよ(新種のクモ発見に伴う要請)

 

「琉球新報」(20121231日)記事によれば、元琉球大学教授・下謝名松榮氏が、泡瀬干潟で新種の「アワセイソタナグモ」を発見した。記事を概略すれば次の通りである。

1.       イソタナグモ属は世界で9種が確認されており、アワセイソタナグモは10種目。

2.       これまで確認されたイソタナグモ属のクモは海浜の満潮線より陸地に生息していたが、アワセイソタナグモは、満潮時に海水に水没する範囲(真満間帯)で生息する種として世界で初めて確認された。

3.       なぜ海水の中で居住するように適応、進化したのか、解明するのはこの種しかいない。

4.       イソタナグモ属のクモで水中生活に適応する能力を獲得した例は珍しく、特筆に値する。

5.       ユニークな生態であり、開発の危機にさらされている泡瀬干潟で発見されたことに意味を感じる。今後の調査が大切だ。

 記事に示されるように、泡瀬干潟で「水没生息は世界初」の新種のクモ・アワセイソタナグモの発見は、世界的に極めて貴重であり、その生態の解明のためにも、泡瀬干潟の保全が極めて重要である。

 泡瀬干潟には、これまでも日本固有種のヤマトウシオグモが水没生活をしていることが確認されており、また絶滅危惧TA類のクビレミドロ・トカゲハゼ、U類のフジイロハマグリをはじめ128種(事業者確認)の絶滅危惧種も生息している。また、泡瀬埋立工事が着工された2002年以降、泡瀬干潟・浅海域で発見された新種は、この「アワセイソタナグモ」をはじめ、「オキナワキチヌ(魚類)」「アワセヒガタツバサゴカイ(ゴカイ)」「ザンノナミダ()」「ヒメメナガオサガニ(カニ)」「リュウキュウズタ(海藻)」「ニライカナイゴウナ(貝)」「カラクサモク(海藻)」「ホソウミヒルモ(海草)」「ミル属の1種(海藻)」「アワセカニダマシマメアゲマキ(貝)」「ユンタクシジミ()」と何と12種になります。「オキナワキチヌ」「アワセヒガタツバサゴカイ」「ヒメメナガオサガニ」「リュウキュウズタ」「ミル属の1種」は、事業者も確認しているところです。

 

 このように泡瀬干潟・浅海域は世界的にも極めて価値の高い生物多様性に優れた場所であり、ここで行われている埋立工事は即刻中止すべきです。

 私たちは、これまでも幾度となく「泡瀬埋立中止」を要請してきましたが、聞き入れられませんでした。今度の「水没生息世界初・新種のアワセイソタナグモの発見」を契機に、事業者としても泡瀬干潟・浅海域の貴重さを再確認し、これまでの工事強行を再考していただきたく、次の要請をいたします。

要請

 

1.「水没生息世界初・新種のアワセイソタナグモ」等貴重種の生息する泡瀬干潟・浅海域の埋立工事を即時中止せよ。

                      以上